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奇妙でいびつな『境界戦機』

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2021年の10月から12月にかけて放送し、2期が4月から放送予定のアニメ『境界戦機』。

 

ネットで検索するとつまらないといった否定的な感想が多いアニメで、お世辞にも好評とはいえません。

 

それでは境界戦機のどこか悪いのかというと、1つ1つのエピソードが嚙み合わないことに原因があります。

 

演出や勢い優先で進めているなあと思う場面はありますが、境界戦機には明確に『ここがダメ』と断言できる大きな矛盾やツッコミどころはありません。

 

ですがエピソードを並べることで1話から「どういうことなの……」という顔をしてしまう構成なので、どこがダメなのか話そうとすると複数のエピソードに触れなければいけなくなります。

 

1つ1つのエピソードが何重にも重なることでおかしなことになるので、何がどうダメかを説明するのもややこしく、アンチするのも面倒なアニメになってしまい、つまらないのようなシンプルな感想で否定的に語られました。

 

それでは境界戦機のストーリーはどんなものなのか?

 

それを大まかに取り上げていきます。

1話の流れ

  • 少子化や経済政策の失敗によって4つの経済圏の支配下に置かれ、隷属国家となった日本。
  • 各経済圏は日本で勢力争いを始めたため日本は最前線となる。
  • そんな世界で日本に住む主人公のアモウは、境界と呼ばれる各勢力圏の境目にいたことでテロリストとして手配されてしまう。

 

これが大まかな1話の流れですが、このアモウが背景やどんな考えを持っているのかよく分からないキャラクターとなっています。

 

アモウが両親と死別しているものの、奨学金が出ていて学校に通えていて1人暮らしをしていました。

 

そんなアモウは日本の現状を『才能がないと一発逆転できない』と語りますが、上記の環境を踏まえると『孤児でも奨学金で学校に通えるアモウは一発逆転できる側ではないか?』という疑問がわいてきます。

 

アモウは境界のジャンク品漁りに参加しているのですが、他のキャラクターと違い生活に困っている描写はありません。

 

また深夜に境界にいたことからテロリストの疑いをかけられるのですが、境界は各経済圏の国境のようなもので、アメイン(境界戦機における人型兵器の名称)同士の戦闘も起きている場所です。

 

アモウが見ていたニュースで日本人のテロリストが存在することも描かれていました。

 

そのため境界にいたアモウがテロリストの疑いをかけられる流れが自然のものになっており、理不尽さを感じにくくなっていました。

 

アモウがジャンク品を集めてケンブというメイレス(アメインの一種)を組み立てていたのも、テロリストであるという疑いに説得力を与えています。

 

1話では他にも子連れのキャラクターに経済圏の軍人が怒鳴る場面があるのですが、子供が車道にいるため車道に飛び出した子供とそのことを怒鳴る運転手という構図が出来上がり、差別といいきれない中途半端なエピソードです。

 

八咫烏

テロリストとして指名手配されたアモウは八咫烏という組織に助けられます。

 

八咫烏は日本を取り戻すために活動する組織であり、アモウにも協力を求め、アモウはレジスタンスとして戦おうという気持ちになれず、一度は断ったものの八咫烏に加わりました。

 

八咫烏にはアモウ以外にもガシンとシオンというメイレスのパイロットがいるのですが、どちらもアモウと同年代なため八咫烏に対してある疑問がわきます。

 

1話のアモウの台詞にあるように、このアニメの舞台となる日本は少子化も進んでいるのですが、子供を戦わせることに八咫烏の面々は疑問を持ちません。それどころか戦力としてあっさり迎え入れました。

 

また八咫烏にとって日本を取り戻すとはどんなことを指すのかも曖昧なままです。

 

境界戦機の世界で日本は4つの経済圏に支配された隷属国家となっていますが、

  • 全ての経済圏を追い出して日本を独立させるのか。
  • それとも一部の地域だけなのか。
  • 経済圏ごとに対応を変えるのか。

 

これにはアンサーどころか疑問に持つキャラが出ないまま1期は終わります。

 

仮に取り戻せたとしても、少子化と経済政策の失敗で隷属国家となった日本は独立した国としてやっていけるのかにも触れられません。このことは9話の内容がそれを強めています。

 

というのも9話では非公認の自治区というものが出てくるのですが、そこでの生活はインフラが十分に機能しない不便なものでした。

 

それまでの描写で出てきた街の描写は定食屋やコンビニが出てきて、コンビニに至ってはおにぎりの100円セールができていたため、日本を取り戻したとしてその後どうするんだろうという感想が出るものでした。

 

7話でガシンは日本人は虐げられていると憤りますが、その場面で映る町は高層ビルとその周辺の住宅街といったもので、同じ回でアモウ、ガシン、シオンの3人が高そうなホテルを利用していました。

 

9話の自治区が古びた街並みでインフラが満足に機能していないことと比べると、その後どうするんだろう感を強まります。

 

それと8話で八咫烏は戦火から逃れて廃村に住む家族の支援をするのですが、そのための資材や食料はブレンゾン社のジェルマンによってもたらされたもの。

 

八咫烏ゴウケンはこの支援を日本人の誇りと満足気でしたが、その誇りはブレンゾン社によって成り立っています。

 

海外の企業が後ろについたおかげで満足に支援できているのですが、そのことには気づいてないかのような無邪気な反応でした。

 

戦闘シーン

境界戦機の戦闘シーンは他の描写に比べて評価されていますが、それでも奇妙だったり話の都合を感じるところはあります。

 

3話で出てきたリサですが、アモウと仲良くなったかと思えば4話の冒頭でゴーストに殺されました。

 

この場面ですがアメイン用の武器が途中から出てくるのに、ジープに乗ったままマシンガンでゴーストを攻撃するという流れなので、アモウにトラウマを持たせるために用意された感のあるキャラクターです。

 

7話ではブラッド率いる北米軍とゴーストとの戦闘があり、ブラッドは輸送機も戦闘に参加させますが、ゴーストを見つけたのは対立する経済圏内。

 

そのため小規模の部隊で出撃したのですが、戻るための手段も戦闘に参加させ、その結果輸送機はゴーストに返り討ちにあいました。

 

10話でアモウたちは東北に遠征し、ユーラシア軍と戦い、このとき『ユーラシア軍は他と比べて機体性能は低い』というセリフが出ました。

 

アモウたちが戦ったユーラシア軍のアメインは、手に持ったナタでジョウガンが撃ったライフルの弾を弾き、空から飛びかかるレイキの薙刀や両手で持ったケンブの剣の攻撃を片手で防ぎます

 

12話から13話にかけてはゴーストとアモウたちの戦いが描かれますが、片手で防がれていたレイキの攻撃が、ケンブがリミッター解除した後はゴーストに通じるようになると、話の都合でゴーストの頑丈さが変わっていました。

 

ゴースト

このゴーストは正体不明で所属も不明なアメインで、八咫烏も拠点を劇中の描写だけで2回襲撃されました。

 

他の経済圏にバレた様子はないので、ゴーストだけに拠点を襲撃されたことになります。

 

ゴーストを特別警戒するかというとそうでもなく、ダッシュ村回とネタにされるような寄り道回はあっても、ゴーストを意識する描写はないまま終盤を迎えました。

 

八咫烏の代表は「ゴーストを倒すことが日本や日本人のためになるだろう」と言いますが、12話でもこのような曖昧な表現しかできないことが、このアニメのダメな部分を象徴しています。