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『ToHeart』を振り返る【古き良き学園ラブコメ】

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ToHeart』は1999年に放送されたアニメです。

PCで販売後にプレイステーションへ移植したビジュアルノベルのアニメ化で、主人公の浩之と複数の女の子が恋愛関係になる内容でしたが、このアニメだと恋愛要素は抑えめに。その代わり丁寧に学園生活を描く内容になっていました。

以前はアマゾンプライムdアニメストアで見ることができたようですが、2022年4月現在ではどちらも配信していません。

最近見る機会があったのですが静かに話が進むアニメで、終始静かで穏やかな雰囲気が魅力でした。

本作には分かりやすくアニメらしい賑やかな場面はなく、キャラクターが変な顔をしたり大きなリアクションをとったりもしません。付け加えると水着回もなく、コスプレをすることも皆で何かのバイトをしたり……というのもないです。

そのため日常アニメ以上に日常を描いたアニメともいえ、人によっては退屈で単調だと思われるかもしれません。

BGMも劇中の大半で鳴らないため、音楽面でも静かさが強調された内容でした。そんなこのアニメについて、何人かにスポットを当てつつ取り上げていきます。

なお2004年に『ToHeart』は『ToHeart Remember my memories』というタイトルで新しくアニメ化していますが、本作とは無関係です。

浩之

主人公の浩之は高校2年生。両親は家におらず一人暮らしで、毎日幼馴染のあかりが起こしに来るという生活をしています。

性格は無気力でけだるそうにしているものの、何かあるとお節介といえるレベルで関わり、仲良くなった相手とはその後も友人として繋がりを持ち、特別興味があるわけでもない黒魔術の儀式や格闘技の練習にも付き合うので何気に人望あり。

友人関係はあかりの他には雅史や志保と仲が良く、この4人を中心に話が進みつつ他のキャラクターにも1話ずつスポットが当たる構成でした

4人のエピソードとしては個人的にこのアニメを象徴する2話が挙げられます。

人気バンドのチケットをあかりと雅史がどちらもライブ当日に2枚だけ手に入れることができ、それをあかりは志保、雅史は浩之に相談しました。

浩之も志保も自分のまかせるように言いチケットを預かりますが、肝心のこの2人が変に牽制しあったせいでチケットの話はできないまま会場に……という内容。

もう少し後の時代なら携帯電話で連絡を取り合うことで済むのですが、劇中の時代だとそうもいきません。

浩之も志保も雅史やあかりにチケットの話ができなかったことを相談しようとするのですが、タイミングが合わず話をできません。

素直に話を切り出すこともできず、モヤモヤを抱えたままライブ会場に向かう甘酸っぱい回でした。

3話以降は途中で体育祭や浩之とあかりの勉強会を挟みつつ、1人1人のキャラクターにスポットを当てる今でいう○○回が始まります。

ヒロインたち

最初に登場する芹香は小声で話すため、音量を上げないと何を言っているか分からないという演出で登場。浩之が何を言ったかを確認するかたちで会話するキャラクターでした。

オカルト研究会に所属し、黒マントとまとい黒い三角帽子をかぶった姿で黒魔術の儀式を行うものの、儀式が成功したかは曖昧なままです。

次に登場する葵はエクストリームという格闘技に夢中になるものの、同好会すら作れないという状況に。浩之の仲介もあり、空手部の先輩との試合を校内で開き、それがきっかけで同好会のメンバーを増やすことができました。

元のゲームでは攻略対象だった綾香はここで登場しますが、特別目立つ出番はなく葵の憧れの人物であるという立ち位置です。

5話で体育祭を挟んだ次の6話では理緒が登場しました。

理緒は浩之に好意があり、浩之をデートに誘うのですが浩之は理緒を何とも思っていません。

デート中にあかりへの土産を用意する等の浩之の言動を見て、理緒はデートを諦める切っ掛けにして浩之の友人であることを選びます。

7話は琴音が登場します。元のゲームでは念動力の持ち主でしたが、本作では予知能力の持ち主に。身近な人物の不幸な未来を予知してしまうため、周囲から気味悪がられているという設定に変わりました。

芹香の黒魔術もそうですが、非現実的な要素はアニメ化にあたり抑えめになっています。

ゲームから最も設定が変わったキャラクターで、ゲームでは攻略対象の1人でしたが浩之とは特にフラグは立ちません。

その代わり登場時から雅史に好意を持ち、予知能力で雅史のケガを防ぎました。そのことがきっかけで周囲とも馴染めるように。

8話の勉強会の後の9話は文化祭の準備でトラブル発生。委員長の智子は周囲と壁を作るキャラクターでしたが、この出来事を切っ掛けに少なくとも浩之やあかりには態度が柔らかくなります。

文化祭の準備はしても、文化祭自体の描写はないというある種の珍しさを感じる回でした。

10話はマルチが登場し、11話までマルチが主役のエピソードが続きます。

マルチがメイドロボ(作業用アンドロイド)として、お世辞にも有能とはいえないことを描写し、対照的に有能なセリオを出したうえで、『マルチは何故有能ではないのか』にも触れていきました。

このことについてマルチやセリオの開発主任である長瀬は落ち葉を持ち出し、『土の上なら肥料になるが、アスファルトの上ではごみでしかない』といったことを口にします。

他のヒロインと違い2話かけて掘り下げられたマルチですが、その一方レミィはこれといった見せ場がありません。

綾香も出番は少ないものの、葵の憧れの人物として強者の雰囲気を醸しながら登場し、葵の試合の審判を務めるため存在感はありました。

本作ではマルチがあかりと志保を除けば最も優遇されたキャラクターで、レミィは最も不遇なキャラクターといえます。

あかりと志保

12話からは浩之を中心の三角関係が始まるのですが浩之は積極的に行動を起こしません。12話では志保が浩之に好意を持っていることを自覚しつつも、それを否定していることが描かれます。

その上で13話のあかりは志保に浩之のことを好きなのか聞き、自分は浩之のことを好きであると伝えました。

あかりは浩之が他の女の子と仲良くしていると、不安気だったり真顔で浩之を見つめますが、それが好意からくるものであることが明確に。

またあかりはちゃんと言葉を口にしないのはずるいと思ったことを加えますが、志保は浩之のことを好きではないと伝えます。

あかり風に表現すれば志保はずるい返答をしました。志保の浩之への思いはここで途切れます。大きな盛り上がりや感動、ギスギスといったものはなくうっすらと切なさを感じさせる決着でした。

以上のように学園生活を丁寧に描いてきた本作は、浩之とあかりのやり取りで終わります。この2人のやり取りも地味ともいえるくらい静かに淡々と描かれ、最後は浩之とあかりが恋人になる未来を匂わせました。

本作のDVD-BOXは販売していましたが、ブルーレイにはなっていません。前に触れたように配信も現在はしていません。

今見ると「あの作品のあのキャラや設定の元ネタはこれなのでは?」と感じられるところもあるので、資料的な意味でも何かしらのかたちで見やすい環境になってほしいですね。